第4章 インターハイ予選。
バス座席は適当。わいわいやって何となく座っていると、例によって"潔子さんの隣の座席争奪戦"が行われていた。西谷先輩と田中先輩メインに白熱したじゃんけん大会が繰り広げられる。
「さーいしょーはグー!」
「じゃーんけーんポンッ!!」
「あーいこーでしょっ!」
「あーいこーでしょっ!」
「またか、あーいこーで…」
何回やってもあいこばかり。大人数でやってたらそうなるわな。でも、これじゃあ埒が明かないだろうな。それなら優しい私が一番良い解決策を実行してあげようではないか。
「あーいこーで…」
『潔子さんっ、隣いいですか?』
「朱里ちゃん!早く早く」
私はいそいそと荷物を持って潔子さんの隣へ移動。じゃんけんをしていた男子は今頃になって気付き、こちらを見て口をあんぐりと開けている。
あ、何だろ、この何とも言えない優越感。
「朱里、女子だからって反則だぞ!」
「そーだ、そーだ!」
『いくら先輩方とはいえ、これだけは譲りませんからね。それに早い者勝ちですから』
勝利のブイサインでドヤ顔を決めた私にブーイングの嵐。潔子さんの隣にいられるなら、こんなの余裕です←
そうして私は潔子さんの女神のような横顔を拝みつつ、バスに揺られて仙台市体育館に向かうのでした。
因みに道中、通路側に座る私には右からの視線が刺さってきたけど、そんなの気にしないもんねぇだ。