第4章 インターハイ予選。
そして時間はあっという間に流れて遂にインハイ初戦当日。
私はいつも通り自転車で学校に向かう。坂を登りきって、漸く校門に着きそう。自転車から降りて押して歩いているとうおぉぉぉ!と叫びながら翔ちゃんが立ち漕ぎして坂を登ってきた。
『しょーちゃーん、おっはよー!』
「おはよー、俺が一番乗りだ!」
「ボゲェ!おまえには負けんっ!」
「あ"っ!!」
どこから湧いてきたのか、影山くんが自転車の翔ちゃんを追い越して校門に一番乗り。ぜぇはぁと肩で息をしながら影山くんはニヤリと笑った。
「これで俺の31勝30敗1引き分けだな」
「違う。俺、一回お前に負けてるから。だからそうじゃなくて俺の30勝32敗」
それからすぅっ、と息を吸って翔ちゃんは言った。
「大王さま倒して、ウシワカも倒して、全国いって、そんで、お前を倒すのは俺だ!」
突然の宣戦布告に影山くんは目をパチクリさせた。でも、影山くんは不敵に笑って翔ちゃんに答えた。
「おう!」
この二人を見ているとよく思う。
ああ、青春してるなぁ、と。
こんな風に互いを認め合って相棒として、ライバルとして高め合えるのは羨ましいとすら思える。
『はいはい、それはいいから。3年生も2年生も来てるよ?バス乗って行こ!』
二人の背中を押しながら私はにっこり笑った。さあ、出陣だ!