第3章 日常①。
画面を見ると、兄さんからの着信だった。
『すいません、ちょっと…』
「お兄さんからか?出てあげなよ」
スガさんがオーケーを出してくれたので、部室の外で電話に出た。
『もしもし、兄さん?』
《おお、アカリか。何か久々な感じがするな》
『ソダネ。んで、用件は?』
《あのさ、今からそっち行くから。どうせ学校なんだろ?帰る用意しとけよー》
『はあ!?何言ってんの!?』
兄さんがあまりにも突拍子のないことを言ったので思わず大声を出してしまった。
《とにかく!烏野だろ?待っててなー》
『ちょっと急に困るんだけ…』
ブツッ…ツーツーツー…
私の反論も聞かずに兄さんは半強制的に、いや完全に強制的に電話を切った。
な・ん・な・の・さッ!
『もうっ!』
怒鳴りながらドアを開けるとみんながこっちを見て固まっていた。
『へ?』
「ああ、いや…」
旭さんが歯切れが悪そうにと言った。
「朱里が怒ってるところとか見たことなかったから…」
『え…私、そんなにキレてました?』
「普段の様子からは想像できない声だった。それで、お兄さんは何て?」
サラッと旭さんを肯定しながらスガさんが言った。私は苦虫を噛み潰したような顔で兄さんからのことを伝えた。
『なんか兄さん来るみたいです、烏野に』
「ふーん。え、青司にい来んの!?」
そうですよ、翔ちゃん。
貴方の大好きな青司にいですよー。