第1章 プロローグ。
それからすぐに授業が始まった。そしてあっという間にお昼休み。
授業間の休み時間に何人かの女の子が話し掛けてくれたので、何となくクラスの空気に馴染めた気がした。
ちなみに隣の席はさっきのメガネ君だった。月島蛍というらしい彼に名前の読み方を訊ねると、ゲンナリした顔で"けい"と読むことを教えてくれた。同じやり取りをクラスの人と何度もしていたらしかった。
そんな月島くんはバレー部に所属しているらしい。なるほど、それでその指のテーピングか、と一人納得する私だった。
そして現在。
仲良くなったユキちゃんに屋上の場所を教えてもらってそこでお昼を食べることにした。今日のお昼は朝の登校途中に近くのコンビニで買ったサンドイッチ二つ。朝は余裕がなくてお弁当を準備している時間がなかったのだ。
春のやわらかな風が吹き私の髪を揺らす。サンドイッチを食べ終わったあと、私は見上げた太陽の光に目を細めた。
時間も余って暇だったので、読みかけの本を読むことにした。シリーズものの最新刊なのだが、これがなかなか面白い。
時間が経つのも忘れて没頭していると、屋上のドアがギィ…と音をたてて開いた。
『あっ…』
「日向サン、何してんの?」
そこにいたのは月島くんだった。