第2章 音駒の彼ら。
「翔陽の速攻、特にブロードは厄介だね」
話し合い早々研磨はそう言った。
"変人速攻"と言われるだけあって翔ちゃんと影山くんの速攻はちょっと変わっている。レシーブが上がった瞬間助走して、一番高いところまで"飛んだ"翔ちゃんに影山くんがトスを合わせるのだ。
ちなみに"ブロード"は移動しながらの速攻でブロックしにくいのだ。翔ちゃんの速攻の場合は特に。
他校から警戒されてるって知ったら翔ちゃん喜ぶかな?
「犬岡、いけそう?」
「ッス、大丈夫です!」
「じゃあ翔陽の速攻は犬岡で対処。ブロックで翔陽をしめていこう。あの1年のセッターが"鬼"で翔陽が"金棒"なら…」
『"鬼"から"金棒"を取っちゃうってこと?』
「アカリそれ俺の台詞ね!」
研磨の言葉の続きを言うとクロに突っ込まれた。はいはいとクロに返しながら内心では唸っていた。
音駒のマネージャーをやってる以上、彼らの勝利に力を貸すべきだと思っている。その一方で翔ちゃんたちが負けてしまうのも悔しかった。
それでもやっぱり両方に頑張ってほしい。それにブロックへの対処方法を学ぶことは翔ちゃんにとってもプラスになる。
ここは一つ、犬岡くんにアドバイスを!
『犬岡くんさ、ボールを追いかけるんじゃなくて翔ちゃん…っと日向を追ったらどうかな?日向は本能のままに動いてスパイク決めてるから、ボールを追いかけてるとブロック間に合わないと思う』
「そっか、ありがとう日向!って、どっちも日向だから紛らわしいな…もういっそ朱里でいい?」
『全然、構わないよ?』
「ん!俺のことも"走(そう)"って呼んで、それから敬語もなしね」
ニカッと爽やかに犬岡くん…じゃなかった、走は笑った。
号令がかかって波乱の2セット目が始まる。
果たしてセットを取るのは烏と猫とどちらなんでしょーか!