第2章 音駒の彼ら。
今回の練習試合のスタメンは事前に烏養コーチと武田先生から知らされていた。
手元にあるノートにはこう記してあった。
烏野スタメン
・ S 影山
・MB 日向,月島
・WS 澤村,東峰,田中
・ L i 西谷
翔ちゃんと影山くんの"変人速攻"の特訓の成果が出てるといいなぁ。烏野はばりっばりの攻撃型だけど、音駒はどんなプレースタイルなんだろう。そう思って私はプレーが進むコートに目を遣った。
音駒メンバーとは試合直前に何となく自己紹介をした。名前と学年それにポジション。聞きながら烏野のスタメン表の隣に走り書きのメモを取った。
音駒スタメン
・ S 孤爪
・MB 黒尾,犬岡
・WS 海 ,山本,福永
・ L i 夜久
ちなみに、クロと海さんと夜久さんは3年で研磨と山本さんと福永さんは2年、犬岡くんだけが1年でレギュラー入りしている。
1年でレギュラーってことは相当上手なんだろうなぁ、犬岡くん。
個々のプレーの特徴をノーとにまとめつつ、食い入るように試合を見ていた。一進一退の攻防が繰り広げられる中、1セット目は25‐22で音駒が先制した。
『クロタオルー!夜久さん、スポドリです。一気に飲まないでくださいね。あっ!犬岡くん、一気飲みダメだってば!』
セットの間の休憩時間。汗だくのみんなにタオルやらスポドリを渡していた。パタパタと走り回る私を見てクロは満足気に頷いた。
「マネージャーがいるっていいわー!」
『やっぱりいないと大変なの?』
「そうなんっスよ!」
クロに訊くと犬岡くんが答えてくれた。
「雑用とかは1年の仕事だし…」
『犬岡くん、お疲れさまです』
思わずペコリとお辞儀をした。だってそうでしょ?普段の練習だってあるから疲れてるだろうに、マネージャーの仕事までやるとは。
「クロ、世間話はいいから。2セット目どうするか考えよう」
「そうだな」
研磨の一言に空気が引き締まった。
2セット目はどんな試合を見せてくれるのだろう。私はとてもワクワクしていた。