第2章 音駒の彼ら。
クロと研磨たちとわちゃわちゃしてると、何だ何だと烏野メンバーも集まってきた。
「アカリやっぱり研磨と知り合いだったんじゃんか!」
「あ、チビちゃんだ~」
『翔ちゃんってば"チビちゃん"って呼ばれてるんだ!』
「~っ!それは、これから伸びるの!」
「翔陽はそのままでいいよ」
「なっ、研磨ヒドイ!」
『いいぞ~研磨!もっと言っちゃえ!』
「アカリもヒドイ!」
私と翔ちゃんとクロと研磨で和気藹々としていたとき。
「それで、朱里公衆の面前で何堂々と抱き合っちゃってるの?」
月島くんの一言で空気が一気に冷えた。
横目でクロを見るとヤベ、という顔をしていた。ちっ…使えない。←
研磨を見るとバチッと目が合ったがすぐに逸らされた。
私が言うしかないじゃないのよ!
しどろもどろになりつつ何となく答えた。
『えっ、それは、そのぅ…久しぶりに会ったから…テンション上がって…とか?』
「ふーん」
「いや、"とか"って何!何で知り合い!?」
月島くんは納得いってなさそう。私は鋭く翔ちゃんに突っ込まれて渋々話し出した。
『クロ…音駒の主将の黒尾鉄朗サンとセッターの孤爪研磨サンは、東京に住んでた頃のご近所さん。翔ちゃんには言ったよね?』
ああ、と納得した声が方々から漏れる。
「そっか東京!…ってもしかしてこの人たちアカリの師匠!?」
『うん。そうだけど?』
わぁっ!と目をキラキラと輝かせる翔ちゃん。何をする気かと訊こうと思ったら、いきなりクロと研磨に頭を下げた。
「俺にバレー教えてくださいッ!」
「日向抜け駆け!俺も、お願いシャスッ!」
翔ちゃんと一緒に影山くんも頭を下げた。何で君たちはこうなるんだ…
「おう、いいぞ!」
『いいの!?』
二つ返事で了承したクロに驚いて聞き返した。その口元はニヤリと弧を描いている。クロがこういう顔をするときは、何か悪巧みをしているときか、楽しいことを考えているとき。お願いだから後者であって!
「但し…試合、してからな!」
ニッと笑って言ったクロに翔ちゃんも試合だー!と叫びながら準備に戻った。それに続いてぞろぞろとウォーミングアップを始める選手たち。
コートの後ろに並んだところで挨拶をし、烏野と音駒の練習試合が始まった。