第2章 音駒の彼ら。
『月島くん…?』
「平気なわけないデショ。だって震えてる」
『えっ?』
月島くんに掴まれた自分の腕に目を遣ると、それは微かに震えていた。
『あ、あれぇ?おかしいなぁ…アハハ…』
「何があったかは知らないけど、無理しすぎないでよネ。マネージャー減ったらこまるのこっちなんだから」
手を放して月島くんはそっぽを向いた。その頬は心なしか少し赤い。月島くんが可愛く見える。これが俗に言うツンデレか!本人にバレたらそれこそ平気じゃないね。
まだ出会って少ししか経ってないけど、何となく月島くんの人となりは分かってきた。毒舌で意地悪だけど、素直じゃないだけ。そんな彼が私のことを心配してくれていることが嬉しく思えた。
『月島くんありがとう。でも音駒と色々あるのは私のことだから。それにいつかちゃんとケジメつけなきゃいけないと思ってたから』
「ふーん。何かあったらすぐ戻ってきなよ」
『うん、ありがとう!』
分かりにくいけど、優しげな顔の月島くんに私は心があたたかくなる。
さあ、クロと研磨にちゃんと伝えなくちゃ。
私は反対側の音駒メンバーの方にゆっくりと歩き出した。