第2章 音駒の彼ら。
体育館には烏野メンバーが既にネットを張ってあるのですぐに試合に移行できる。体育館の両サイドに烏野音駒両チームが集まり、最後の調整を行っている。
「限りなく不本意に近いが…清水と朱里、どっちが音駒に行く?」
大地さんがみんなを見回して訊ねると西谷先輩と田中先輩が叫んだ。
「潔子さんは渡さない!そうだろ、龍!」
「おうよ、ノヤ!」
「「潔子さあぁぁぁあん!!!」」
「二人とも、煩い」
「「怒った姿もステキ♪」」
やっぱりそうだよね。
クロに会いたくない、研磨と話したくない云々っていうのは私事。
いつかは話さなくちゃいけなかったんだ。
『大地さーん、私、行きまーす』
私は手を挙げて努めて明るく言った。
「アカリ、いいのか!?」
『うん。平気よ、翔ちゃん』
「アカリがいいならいいけど…」
事情を話した翔ちゃんが心配そうにしている。私が大丈夫だと伝えると口を尖らせて縮こまった。
『じゃあいってきまーす…』
「ちょっと!」
意を決して音駒の方に行こうとした私の腕を掴んだのは意外なことに月島くんだった。