第15章 夏休み合宿~最終日~。
BBQの片付けを終え、烏野が宮城に帰るまであと、30分。それが、タイムリミット。
『クロ、蛍くん、京治さんちょっと良い?』
部員たちと談笑する三人をちょいと手招きして、呼んだ。向かう先は、第3体育館。
みんなとの、想い出の詰まった場所。
ネットもボールも片付けられてすっきりとした体育館。ど真ん中の床に座れば、触れる床はひやりとしていた。
おもむろにみんなも座り、私が話し出すのを待っている。いつ、口を開くか迷った。私が話すよりも先に、クロが話し出した。
「アカリと会ったのはよ、小学生の頃だったよな。研磨と俺と、三人でバレーして。楽しかった。でも、お前が一番ツラいときに隣にいてやれなかった…」
ごめんな、と。クロは切なそうに顔を歪めて言った。そして手を伸ばし、私の髪をそっと撫でる。小さい頃みたいに。
『ううん。あの頃は私も弱かったから。でもね、でも、今は違うよ』
ちゃんと、自分で答え出したよ。
三人の視線を感じながら、私は大きく息を吸った。そして、一息に言った。
『…っ、ごめんなさいっ!』