第2章 音駒の彼ら。
「今連絡が入りました。みなさん、そろそろ音駒の方々が来るそうです」
うぇーいと適当な返事をして出迎えに移動する。そして一列に並んだ。私は…というと、潔子さんの後ろに隠れている。
だって…
ヤバいよ…
どんな顔して会えって言うの!?
そうこうしているうちに、音駒高校排球部の面々を乗せたバスが到着した。部員が荷物を抱えてゾロゾロと降りてくる。
「どうも、今回は遠路はるばるありがとうございます」
「いえいえ、うちのヤツらも楽しみにしてましたから。何せ烏野ですからね」
「そうですか。よろしくお願いします」
「こちらこそ、どうもね」
にこにこしながら両高校の主将が握手を交わす。二人とも顔は笑っているが目は一ミリたりとも笑っていない。コワ…
「気をつけ!お願いしぁーっす!」
「オナシャース!」
整列した選手たちが礼をする。潔子さんの後ろから音駒の選手をちらりと見た。
知っているのは一、二、三…四人かな。
先ずは主将のクロ。
それから研磨。
あとは海さんと夜久さん。
海さんと夜久さんはクロの家で何度か会ったことがある。私のことは多分覚えているだろう。今回の練習試合、この四人との接触だけは何としても避けたい。
翔ちゃんはどうかな?と顔色を窺うと口を開けて目を見開いていた。きっと、クロと研磨がいたから驚いているのだろう。
対して二人は余裕のポーカーフェイスだ。また会ったな、とでも言いそうな顔。あの人たち、今日のこと、翔ちゃんが烏野だってこと知っててわざと言わなかったな。
早速試合だ!と体育館に向かう烏野メンバーにクロは思ってもみないことを言った。
「ところで…今日おたくのマネさん、一人お借りしていいんですよね?」
………は?
今、何て?