第15章 夏休み合宿~最終日~。
試合は旭さんのジャンプサーブから始まった。梟谷リベロの小見さんのレシーブは乱れつつもセッター赤葦さんの元へ。ラストボールを任されるのは当然エース・木兎さんで。
木兎さんがスパイクを打つ前、蛍くんが飛雄くんに声を掛けたのが分かった。クロのアドバイスでも教えてあげるのかな~。
スパイクに合わせて二人は上に跳ぶ。飛雄くんはストレートをガード。バチッ!と音がして、ボールが弾かれる。
『あ、ブロックアウトだ…』
せっかくのブロックは、跳ね返ってサイドラインの外へ。当の木兎さんは、日に日に育ってハラ立つわ〜!と愚痴る。
続く梟谷のサーブはアウト、さらにその次の蛍くんのサーブは、木兎さんがスパイクを決めた。これで梟谷2−烏野1。序盤だけど、引き離されるのは困る。
木葉さんのサーブを西谷先輩が受け、飛雄くんへ返る。西谷先輩のは、いつ見ても綺麗なレシーブだ。飛雄くんがトス、ボールのその先には勿論翔ちゃんが。
端から見ても、完璧なトス、踏み切り。
速攻来るかな!?
『…え、フェイント!?』
翔ちゃんは、完璧なスパイクを打てるその瞬間、ちょんっとボールを押し、フェイントを使ったのだ。
昨日の夜の木兎さんの言う必殺技とは、フェイントのこと。ここで使ってくるとは。
木兎さん、すっごい悔しそうだけど、教えたの木兎さんなんだよなぁ…←
『木兎さんって、なんか抜けてる…?』
「がっつり、だな」
隣で観戦するクロが、ニヤリと笑った。これで2対2。勝負は始まったばかり。一週間の成果が見たくて、うずうずする!