第15章 夏休み合宿~最終日~。
密かに1年生の優生くんとまとめた合宿遠征の戦績を見てみる。
『おーおー、梟谷はさすがだねぇ!』
「木兎さんが脅威だからね…」
木兎さんを擁する梟谷学園。勝率は7割8分
と合宿最強。今度の春高でも、梟谷はライバルになるだろう。
勿論、その為には東京都予選を勝ち残ってもらわなきゃだし、烏野だって白鳥沢を倒さなきゃだけど。
「僕たち音駒は2位かぁ…」
『頑張ったんじゃん?』
そして烏野はというと…
『うわっ、3勝も出来たの!?』
「ひどくないかな、それ!?」
60敗以上しているけど、3勝。その3勝がスゴいと思えてくるから、不思議だよね。
ピーッ!と笛が鳴り、また一つ、試合が終わった。烏野が負けたみたい。
「フライング一周ー!」
「「「「「アッス!」」」」」
異様な貫禄を醸しながらペナルティをこなすチーム烏野。翔ちゃんもこの合宿でフライングが格段に上手くなった。
もうあごがズリッてなることも、ないかな。とか思った矢先、ズリッてやってた。
さすがの田中先輩も、最後まで負け通しかよ…っ!と毒づき、西谷先輩や翔ちゃんといった普段は元気いっぱいな面々が返す気力もない。
まだ数試合残っている。ここでモチベーション下がったら…!
『あの、みんな…』
「朱里?」
「…どうかしたか?」
『えっと、あのぉ、その…』
なんとか励まそうと言葉を探していると、後ろから誰かにポンッと方を叩かれた。振り向くと、大地さんだった。
何も言うな、という顔の大地さん。ここはキャプテンにお任せしよう。
大地さんがみんなに深刻そうな顔で声をかける。そんっなに大事な話なのかな…
大地さんが声をかける。
「これは…偶然聞いた話だから黙っておくべきかと思ったんだが…」
ゴクリ、とつばを飲む。
「この練習試合全部終わったら— 監督達のオゴリでバーベキューらしいぞ…」
その一言で、疲れはどこかへぶっ飛んだ。