第15章 夏休み合宿~最終日~。
チュンチュンと、スズメの声が聞こえる。それと誰かが呼ぶ声。ああ、これは夢…?
「ほら、起きて~」
『わぁ、ごめんなさい、もうしません!』
ガバッと起き上がると、目の前には潔子さん。潔子さんはクスリと笑みをこぼした。おう、朝から天使、目の保養だわ…←
「おはよう、朱里ちゃん。よく眠れたみたいだね。昨日は音駒の主将さんが連れてきてくれたよ」
『おはようございます!…って、クロが?』
「だからクロさん?にお礼言ったらどうかな」
へぇ、クロが運んでくれたんだ。泣いたところまでは覚えてるんだけど、その後の記憶がどうも曖昧で。なんだかあったかくて、ふわふわしてた気がするなぁ…
『後で伝えておきます!』
「うん。じゃあ着替えたらご飯ね」
そう言うと、潔子さんは一足先に食堂に向かった。お腹がきゅるりと鳴ったので、いそいそと着替え、私も食堂に向かった。
食堂に着くと、ほとんどの人が食べ終わったのか、がらんとしていた。そんな中、クロと研磨、それに木兎さんと京治さんが談笑しているところだった。
「おーっす、朱里!」
『お、はようございます…///』
「ん?」
木兎さんに挨拶を返す。でも、隣の京治さんに目がいってしまい、後半は下を向いてごにょごにょと言った。
自分の分をトレーに入れて、研磨の隣に座った。ちょうど向かいに梟谷の二人。黙々と箸を進めていると、クロがひょいとミニトマトを摘まんだ。
「トマト、どうせ食わねーんだろ?」
『…ん、そのつもり』
「ったく、ガキの頃から変わんねーな」
『クロのトサカもだよ?』
「アカリは朝からよくそんなに悪口が言えるね。本当に感心する」
『研磨、それ褒め言葉』
もぐもぐしながらそんな話をする。よかった、普通に話せる。
みんなは私が食べ終わるまで待ってくれた。それから、第一体育館に行ってすぐに試合が始まった。