• テキストサイズ

烏と猫と梟と。《ハイキュー!!》

第14章 夏休み合宿~五日目~。




【side 黒尾】


アカリは俯いて確かに言った。"だって分かんないんだもん"と。

「分かんないっつーのは…」

『分かんないっ!』

眉毛を不安げに垂れて、目を少しだけ潤ませて、口をへの字にして。アカリは辿々しく話し出した。

『クロも京治さんも蛍くんも、みんな好き。告白してくれてすごく嬉しかった。みんな大事で一番なんて選べない。みんなが大好き、じゃあダメなのかな…』

しゅんとなるアカリ。俺たちは顔を見合わせた。俺たちの一方通行な想いが、ここまでアカリを苦しめてたなんて。

「悪い。結論を急がせるつもりはなかった」

『でもっ…みんなの想いに応えられない私が、すごく、イヤだ…』

「朱里は自分を責めることないデショ」

「勝手に好きだっていってるだけっスから」

『せっかく"好き"って言ってくれるなら…私はそれに応えたい。でもそれは…っ』

「二人をフるっつーこと、だろ?」

言葉の先を繋ぐと、アカリはこくりと頷いた。目にはこぼれそうな涙が湛えられている。

こんな顔をさせるつもりじゃなかった。

俺は、こいつの、笑った顔が好きなんだ。

ずっと隣で笑って欲しいと、願ったんだ。

なんで、泣かしてるんだよ…クソッ

涙を必死に堪えるアカリに、俺は頭を撫でてやることしか出来なかった。


     
/ 286ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp