第14章 夏休み合宿~五日目~。
自主練習を終え、お風呂でさっぱりした。第三体育館に顔を出すと、クロと京治さんが後片付けをしているところだった。
『あらら、ごめんね。私ってば、片付けるのすっかり忘れてた』
今までは明日も練習するから、と基本的に出しっぱなしだった。でも、今日が最後なのだ。明日は、無い。
「アカリも手伝えー」
『ほーい』
クロと京治さんはネットと支柱を仕舞っているので、私は得点番を片付けた。結局、ネコフクロウ両チームとも、4セットをとったから引き分けになった。身長的なハンデを考えると、フクロウチームは健闘したと思う。
片付けを終え、体育館の入り口に座った。頭上の空には星が瞬き、月が煌々と輝いている。森然は割かし田舎だから、街灯も少ない。だから星が綺麗に見えるのかな。
「よっと。はー、疲れた」
「木兎さんの練習量多すぎるんスよ…」
私の右にクロ、左に京治さんが座った。三人で無言で空を見上げる。
『…今日で、最後かぁ』
「おう」
「ですね」
『…楽しかったなぁ、みんなで練習するの』
「疲れたけどな」
「またやりたいスね」
それぞれの五日間に思いを馳せる。
一日目、リエーフが成長しててびっくりした。バレーできて嬉しくて、泣いた。
二日目、みんなでスイカを食べた。
三日目、京治さんに告白された。
四日目、クロと喧嘩をして蛍くんにキスされて。夜はみんなでUNOをした。
そして今日、五日目。
短いけど、濃くて、あっという間だった。
この穏やかで、それでいて賑やかな時間がずっと続けば良いと。何度思ったことだろう。