第13章 夏休み合宿~四日目~。
その後、何回戦までやって、誰が勝ったかなんて覚えてない。ただ、最下位を回避しつつのUNOだった。
「クソ、スキップされた…」
「あかーし!リバース出すなよ!」
『ねー、draw2腹立つんだけど』
「ヒッヒッヒ、三枚返しー!」
「ウノ…あ、draw2ですか?」
誰かが上がろうとすると、その前の番の人がdraw2を出して阻止。それを繰り返すからなかなか終わらない。
「ふぃー、よーやくあがりだ」
今回の一抜けはクロ。クロは何か企んだような顔をした後、こう言った。
「最下位だったやつー、俺の言うこと一個聞けよ、命令な」
『いつから王様ゲームになったわけ?』
「なんだとッ!?それは負けられないな…」
絶対に負けられない戦いが始まった。なんだけど…
『うっそ、なんで!?負けた…』
「うぇーい!アカリだー!」
バンザイをして、喜ぶクロ。ちょいちょいと手招きをされたので、ノロノロと立ち上がってクロの所まで行く。肩揉んで、とかそういう感じかな?
ところがどっこい。クロの口から出た命令は、思いもよらないものだった。
「ん。じゃあちゅーして」
『………は?』
「だから、キスだっつの」
『……え、えっ、キスっ!?///』
不意打ちで言われ、ぶわっと顔が赤くなるのが分かった。っていうか、クロはいきなり何を言い出すんだ。
『だ、ダメダメ。付き合ってないし…』
「えー、じゃ付き合ってよ」
『いや、でもあの…』
「減るもんじゃねーしよー」
なかなかに食い下がるクロ。助けを求めて周りを見る。大地さんはなんとも言えない顔、木兎さんはポカーンとしてる。そして、京治さんは怒りを堪えたような、そんな顔をしていた。
『い…一回だけ、だよ///』
「キスする気になりましたー?」
どうしよう、なんかすごい緊張する。クロは椅子に座ったまま、私がキスするのを待っている。どくどく鳴る心臓を感じつつ、私はそっと、クロに唇をつけた。
ちゅ…と、控えめなリップ音が鳴った。