第13章 夏休み合宿~四日目~。
そして六回戦が終わったところで、スガさんが立ち上がった。
「大地ー、俺戻ってるな?あいつら騒いでないかやっぱり心配だし。昨日も早くに戻ったのに、ごめんなー」
「おう、俺はもう少し残っていくよ…」
「そうか、無理するなよ」
早くも次の手札を吟味し始めた大地さんに、スガさんは心配そうな視線を送った。最後まで大地さんの身を案じているところが、スガさんの優しさだろう。
始まった七回戦、クロは運が良かったようで、瞬く間にカードを減らしていく。そして最後のカードも場に出した。
「うぇーい、あがりー!」
『チッ、クロに負けたし…』
「あかーし、朱里のキャラが変わってるぞ!?」
「いいって、木兎。気にすんな。こいつ元は割りと口悪いし毒舌なんだよ」
『うっさい、黙れトサカモドキ』
「ほらな?」
「「「「…………」」」」
言った側からクロに噛みつく私。残りの四人はしばしの間、呆気にとられていた。
『クロ終わったんで、次は大地さんですよ』
「お、おう…そうだな」
私の声色に少しおののきつつ、大地さんはカードを出した。その後は特に何事も無く進んでいき、海さんが手札をなくしたところで立ち上がった。
「勝ち逃げみたいで悪いけど、ここで失礼するよ。明日も早いからな」
「おー。海おやすみー」
『海さん、おやすみなさい』
「みなさんは残るんスか?」
京治さんが顔色を一人ずつ窺う。誰一人として立ち上がる者はいなかった。
『負けたまま終わりたくないです』
「ヘイヘイヘーイ、今ノってるし!」
「澤村で遊んでからにするわ」
「黒尾ッ!?」
各々の反応を見た後、京治さんが深くため息を吐いた。
「このUNO、めんどくさ…」
面倒くさいUNOはまだまだ続く。