第2章 音駒の彼ら。
『………んっ…あれぇ?』
ぼーっとする。それに目、開かないし。まああれだけ泣いたら無理もないか。
そろりと目を開けるとそこには見慣れない天井があった。
ここ、どこだろう。そっか、翔ちゃん家にお邪魔してるんだ。昨日、泣き疲れた私は寝てしまったらしい。
もう一眠りしようと思い寝返りを打つ。…と目の前に翔ちゃんの寝顔のどアップ。あ、かわいい。…じゃなくて!
…何で翔ちゃん?
え?
えっ?
えっ!?
『えぇぇぇえっ!!??』
朝の静けさに私の悲鳴が響いたとさ。
「何だアカリっ!」
『何で翔ちゃんと寝てるの!?』
「何だ、そんなことか」
『そんなことって何!?』
飛び起きた(私の悲鳴で)翔ちゃんは頭から煙を上げて怒る私を見て、勝ち誇ったように言った。
「だって、アカリがしがみついて離さなかったんじゃ~ん」
『えっ///、嘘!それはハズいんだけど』
「本当でーす。母さんに訊く?」
面白いオモチャをもらったみたいにニヤニヤ笑う翔ちゃんからは、嘘だとは到底思えなかった。
『そのぅ…ご迷惑をお掛けしたようで…』
「アカリだからいいよ!」
ケタケタ笑う翔ちゃんに私もつられて笑った。とても爽やかな朝だった。