第13章 夏休み合宿~四日目~。
木兎さんがしょぼくれモードに入る前にやってしまおう、と京治さん。私は持ってきたUNOを机の上に出した。クロがそれを手に取り、鮮やかな手付きでシャッフルし出した。
「お前、なんか詐欺師っぽいな!」
木兎さんが目を丸くして感心した。クロはピクリと片眉を上げ、京治さんは呆れたように言った。
「マジシャンって言いたいんですよね」
「ああ、それだそれだ!よし、始めるぞ!」
ここで判明、木兎さんの日本語能力の無さ。この人本当に高校生なのかなぁ…←
木兎さんの声に、全員が目の前に配られた七枚のカードを一斉に手に取る。それぞれが七人七様のリアクションをとった。
「黒尾、これ本当に混ぜたのか?」
「海、まさか俺が不正したとでも…?」
『腹立つわぁ、トサカモドキ…』
「ヘイヘイヘーイ俺ついてるね!」
「木兎さん、今夜ですからね」
「UNOにいいカードと悪いカードってあるのか、スガ?」
「んー…なんとなくだべ!」
自分のカードを吟味しつつ、周りの反応を窺う。そして全員がカードを整理し終えた頃、木兎さんが勢いよく手を振り上げた。
「いくぞー、じゃーんけーん…」
七人もいると、さすがにあいこが続く。ぎゃーすかぴーすか騒ぎながら、やっとのことで勝敗が決まる。勝ったのは京治さんだった。
「じゃあ出しますね」
ペラリと山札を捲ると、青の2。京治さんは緑と赤の2を重ねて出した。続く海さんは赤の8。それを見て、クロはニヤリと笑った。
『大地さん、クロ何か企んでますよ!』
「え!?黒尾、そうなのか」
「さぁて、どうでしょうねー、ホイ」
そう言ってクロが出したのは赤のdraw2。
「か~ら~の~?」
その上に、黄色のdraw2。つまり、大地さんは四枚引かなきゃいけないわけだ。
「ふっふっふ、そう思ったよ」
『えっ!?』
続く大地さんも、緑のdraw2。まずい、雲行きが怪しくなってきた…
「大地も出すのか、あぶねー!」
「なぬぅ!?」
スガさんが青のdraw2を出す。木兎さんがビクーッ!と仰け反ると、がっくりと項垂れた。
「くそぅ…」
『はい、木兎さん。八枚ですよ~』
ぬおぉぉぉう…と謎の叫びを上げる木兎さん。クロがげらげら笑って、うるさかった。