第13章 夏休み合宿~四日目~。
「ずいぶん機嫌いーじゃねーか」
『誰っ!?』
不意に後ろから声が聞こえた。慌てて振り向くと、クロだった。お風呂上がりだからかな、ツンツンのトサカがへにょっとしてる。というか、サラッサラのストレート。
『え、誰?』
「いや、俺、俺だっつーの!」
『おれおれ詐欺?』
「お前…分かっててやってるだろ」
さすが黒尾サン、ご名答。
まさか髪型一つでここまで印象が変わるとは、驚きだ。むしろこっちの方がカッコよくなってるんじゃ…
「…何凝視してるの、あ、黒尾さんの魅力にやられちゃいました?」
『う~ん…』
「そこは嘘でもイェスって言うの!」
ふざけるクロに微妙な顔をすると、反論された。嘘はつけないでしょ、嘘は。
『でもカッコいいとは思うよ?』
だから、本心を言った。じぃっとクロを見上げていると、ちょっとずーつ顔が赤くなる。
お、珍しい、カワイイじゃないか。
耳まで赤くなった頃、クロはようやく口を開いた。
「うっせ///せ木兎たち待ってんだ、行くぞ」
『はぁい』
あ、クロってば、照れてるな。
ニヤニヤしながら間延びした返事をすると、シャキッとしろ、と頭を小突かれた。最近よく小突かれるな。脳細胞が死んだらどうしてくれるんだ、まったく←