第13章 夏休み合宿~四日目~。
しばらく無言が続く。ジージーミンミン、外ではセミが喧しく鳴いている。それすらも哀しく思えるような、そんな瞳。
「…フッ、なんて顔してるの」
『え…?』
「今にも泣きそうなんだケド?」
そんなに嫌だったの?と訊く蛍くん。首を縦に振ろうとして、やめた。
だって、そんなに嫌じゃ、なかった…
ふるふると小さく、左右に首を振った。蛍くんは一瞬驚き、すぐにいつもの意地悪そうな笑みを浮かべた。
「じゃあ、続き…する?」
『つ、づき?』
私が訊き返すと、外からドタドタと足音が聞こえてきた。そして、私を呼ぶ声も。
「あーあ、そう上手くはいかないか…」
そう呟くと、蛍くんは私の上から体を起こした。首を捻ってコキ、と骨を鳴らす。
「ホラ、お迎えが来たんじゃないの?」
「アカリッ!」
蛍くんが言うのと同時に、倉庫のドアが乱暴に開かれた。私は眩しくて目を細める。そこに立っていたのは、肩で荒く息をする、クロだった。
『クロ…!?』
さっきのことが頭をよぎり、サッと蛍くんの後ろに隠れた。まだ怒ってる、よね…
『えっと、あの、その…』
何を言えばいいか、オロオロしていると、クロががばりと頭を下げた。
「俺が悪かった!」
「『は…?』」