第13章 夏休み合宿~四日目~。
『ぅんっ///』
急な出来事に思わず反応が遅れた。慌てて蛍くんの肩を押し返すけど、びくともしない。
蛍くんはぐいぐいと押す私の両の手を取り、頭の上に片手で固定した。空いた手は頬に添えている。足での抵抗を試してみるも、無駄に終わった。
『…んっ…ふ、ぅ…っ!』
どうにかしてこの状況を打破しようと方法を模索しているうちに、蛍くんの舌が口内に侵入してきた。
ソレは歯列をなぞったり、私の舌に絡めたりと、それこそ自由に動き回る。舌を喉の奥に引っ込めようとしても、蛍くんのに絡められてしまう。
『ふぁ…んぅっ…っふぅ…』
自分のものとは思えない、甘い声が口から漏れる。声を抑えようとすると、蛍くんが一層激しくしてくるから、どうにも出来ない。
ようやく解放されたときには、私の息は上がって、荒い息をしていた。
「えっろい顔してるね」
『はっ、うるさ、い///』
口角を上げて微笑む蛍くん。フイと顔を背けると、ぐいと無理やり正面を向かされた。
「俺を…見て?」
『蛍、くん…っ///』
私を見下ろす蛍くん。でも、メガネの奥から覗くその瞳はどこか切なそうで、哀しい影がかかっていた。