第13章 夏休み合宿~四日目~。
ヴォンヴォンと重低音を出しながら、ドラム式の洗濯機が回り出した。ちょうど柔軟剤が無くなりそうだった。日が落ちたら買いに行こうかな。
『はい、クロありがとう。助かりました』
「へーへー。他にやることあんのか?」
『う~ん、今日はドリンクの消費が激しいから作っておきたいな』
「んじゃ手伝うか」
洗濯機が止まるのは30分後。量が多かったので、時間がかかりそうだ。
そして、来るとき同様にど突きながら、蹴りながらぐだぐだと帰った。
通りがけに体育館を覗くと、リエーフが夜久さんに回し蹴りを食らったところだった。さしずめ、身長のことでも言ったのだろうが。夜久さんの地雷だとあれほど言っても分からないのだから。
よし、体育館に顔を出しておこう。
『お~い、頑張ってる~?』
「朱里!俺のスパイクを…見よッ!」
声をかけると、木兎さんが超キレッキレのインナースパイクを決めた。
「ヘイヘイヘーイ!やっぱ俺最強!」
『木兎さんすごーい!』
ぴょんぴょん跳んで拍手した。あんなインナースパイクは、肩が相当柔らかくないと出来ない。
『すごい、カッコいいです!』
「わっはははは!」
ふんぞり返る木兎さんを褒めちぎる。だってすごいじゃん、三枚ブロック全部振り切ってさ。しばらく褒めているとクロの気配が消えた。嫌な予感がする…
「…隙ありッ!」
『ぴゃっ!?』
クロの声と同時に、胸元の締め付けがなくなった。がばっと押さえて後ろを振り向くと、いつも以上にニヤニヤしたクロがいた。
「うぇーい、ブラパッチン成功ー」
『こっのぉ…変態っ!』
ビターン!と派手な音をたてて、クロのほっぺに私のビンタが炸裂した。