第13章 夏休み合宿~四日目~。
音駒と梟谷の試合、ぎりっぎりの僅差で音駒が勝った。最後のデュースになった後は、点の取り合いだった。
「くっそおぉぉぉ…トサカァ!」
「はっはっは、ザマァ」
相変わらずうるさい両キャプテン。隣のコートでは烏野があと少しのところで負けていた。初日に比べれば、一歩どころか、三歩くらい前進している。
『はいはいはーい、タオル回収!』
みんなから使用済みのタオルを回収してカゴに突っ込む。ビブスもあるから、量が量。カゴ二つは一人で持つには厳しい。
『暇な人~、トサカ~、手伝え~!』
「それ決定じゃねーかよ!」
問答無用でクロにカゴを押し付け、私もカゴを持った。
『夜久さん、次音駒サポートだっけ?』
「おう!」
『ちょっとクロ借りてくよ!』
「おー、こき使ってやってー」
「やっくんせめて引き留めてよ!」
文句を言うクロをズルズルと引き連れて、私は体育館を後にした。
今日も30℃を越える暑さということで、朝っぱらからむしむししていた。お昼を過ぎた辺りから、暑さがピークになった。何もしなくても、汗がしたたり落ちてくる。
『あ~づ~い~…』
「言うなよ、余計に暑くなるっつーの…」
にしてもあちぃな、とクロがぼやいた。クロも暑いって言ってるじゃん、とつっこめば、クロが頭を小突いてきた。しかも抵抗しないと、何度もつっついてくる。
『やめてよ、痛いってば。暑いって言ったのクロじゃーん』
「俺は主将だからいーのー」
言い分がめちゃくちゃだ。あーだのこーだのと、うだうだ言い合いをしながら、洗濯機のある離れに着いた。
着く頃には二人ともアイスみたいに、ドロドロと溶けそうだった。