第12章 夏休み合宿~三日目~。
腕時計を見れば、時刻は11時を過ぎていた。早く届けないと、寝ちゃうかな。あれ、キャプテンミーティングって、あるんだっけ?
京治さんのジャージを片手に、廊下をとたとた歩く。梟谷の部員が寝泊まりしている部屋には、まだ明かりが点いていた。
コンコンッとノックをすると、どうぞーと声が返ってきた。
『失礼しまーす』
ガラッとドアを開けると、そこにはまあ、リラックスしきった姿がありました。布団の上にはお菓子のゴミがそこかしこに散らばる。トランプがばらまかれていたりもする。
コレ、修学旅行か何かですかね!?
「あれ、音駒の…?」
『あ、一応音駒ですけど、本当は烏野です』
3年生のたしか木葉さん、が少し驚いたような顔をしていた。
「名前なんだっけ、えーと、木兎が…」
『日向朱里です』
「そーそー、朱里ちゃん。そーいや烏野のチビちゃん、いとこなんだって?」
『そうです、翔ちゃんに聞きましたか?』
「いや、木兎と赤葦が言ってた」
木兎さんと京治さんだったのか。
「で、ご用はなーに?」
『そうでした、京治さんいますか?』
「赤葦?いや、戻ってないけど…」
まだミーティングかなー、と木葉さんは言った。こんな時間まで会議とは、副主将もなかなか大変なようだ。
「なんかあったの?」
『いえ、ご本人にお話だったので、少し捜してみますね』
「ほいよ。気いつけてねー」
『はい、おやすみなさい、失礼しました』
ペコリと一礼して、ドアを閉めた。なんだ、京治さんまだいなかったのか。でもこれ朝にはないと困るだろうしな…
そんなわけで、京治さんを捜しに夜の校舎を再び歩くのでした。