第12章 夏休み合宿~三日目~。
あれから、私は一人、とぼとぼと廊下を歩いていた。髪は軽くしか乾かしていないので、しっとりと濡れている。
我ながら、酷い失態だ。十六年の人生の中でもワーストスリーには入る勢いで。ちなみにワーストワンは、ファーストキスをクロに盗られたこと。あれは詐欺だよね。
そんなわけでマネージャーの部屋に戻ってきた次第です。
「おかえりー!」
かおりさんがポッキー片手にひらひらと手を振った。部屋を見回すと、真子さんと潔子さんは既に寝た後で、起きているのは私を含めて四人だった。
『ただいまです。じゃ、行ってきます』
「え~どこ行くの~?」
即行で部屋を出ようとした私を、雪絵さんが引き留めた。
『京治さんにジャージ、返しにいってきます。先に寝ててくださいね』
はーい、と良い子のお返事。いそいそと片付けを始めたので、みんなが布団に入ったのを確認して、部屋の電気を消した。
おやすみなさい、と声をかけてドアを閉める。京治さんのジャージは洗濯機のすぐ横に干してある。取りに行って渡さなくちゃ。
夜のひっそりとした廊下を、早足で駆けた。