第12章 夏休み合宿~三日目~。
だだだだだっと音がしたかと思うと、バンッとドアが荒々しく開かれた。
「どうしたんですか!?」
「何だよっ!?」
私の悲鳴を聞き付けたのか、京治さんとクロが髪を濡らしたまま駆け込んできた。
『ヘビヘビヘビヘビ~!』
「「へびぃ?」」
『そこっ、そこにいるのっ!』
へたりと床に座り込んだまま、指で蛇の居場所を教える。
「あー、迷い込んだんですかね?」
「戸美(のへび)のやつらみてーな顔しやがって、腹立つなー」
呑気に話す二人。ほれほれ、とか言いながらクロは蛇のお腹を突っついた。
『いいからっ!早くどうにかして!』
「へーへー」
適当な返事をしながらも、クロは蛇の頭の後ろを馴れた手付きでひょいと掴んだ。そして近くの窓を開けて、外に放り投げた。
「ほい、終わったぜ?」
「朱里さん、蛇が嫌いだったんだ…」
感慨深気に京治さんが呟いた。こいつ爬虫類とか両生類とか苦手なんだよな、とクロが京治さんに言った。
『ありがとう…助かり、ました…』
「おうっ///」
「俺は何もしてませんけどね///」
どこか気まずそうにそっぽを向く二人。私は訳が分からなくて、訊いた。
『あれ、どうしたの?』
「あー…お前、自分の状況分かる?」
クロが頬を掻きながら目を逸らして言った。自分の状況?自分の…
『きゃあぁぁぁあっ!?』
ヤバいヤバいヤバいヤバい!
タオルしか体になかった!
『ごごごごごめんなさいぃぃぃ!』
脱兎の如く、お風呂場に直行。ガラピシャン!とドアを開けて即座に閉める。
ちょっとだけ開けてみれば、クロと京治さんがニヤリと意地悪そうに笑っていた。
「朱里さんって色白いな…」
「晩メシの、あれ撤回。けっこういい体してんじゃねーか」
『この、変態っ!』
「だっ!」
カコーンっと乾いた音をたてて、クロの顔面に桶がクリーンヒット。
なんかもう、死にたいよね…