第12章 夏休み合宿~三日目~。
『ただいま~って、うわ!』
「どうだった~あの六人!?」
ドアを開けると、目を輝かせたマネさんたち。これ質問攻め決定だな。
『何がですか?』
「だ~か~ら~、自主練習中に何か進展はなかったのかなぁ?」
雪絵さんにうっ、言葉を詰まらせた。何かあったのか、と訊かれれば、なかったわけではないのだが…
『いや、ちょっと…それに、私これからお風呂なんで』
「え、朱里ちゃんまだだったの!?」
潔子さんが驚いたように言った。今までずっと第三体育館にいたことを伝えると、大変だったね、とよしよししてくれた。これは女神の降臨か何かですか←
『そんなわけで、行ってきます!』
わざとらしく敬礼をすれば、ビシッと効果音付きでマネさんたちも敬礼。
「ご武運を~!」
かおりさんの言葉に送られて、私はお風呂場へと向かったのでした。
静かな校舎の廊下を一人歩く。コツ、コツと私の足音だけが響く。妖怪とかおばけの類いを信じてるわけじゃないけど、雰囲気敵にちょっとどきどきする。
そして最後の角を曲がったとき、どんっと何かにぶつかった。
『あだっ!』
「っわ!」
私はぺたん、と尻餅をついた。ぶつかったものを見上げると、光っていてよく見えない。まさか、妖怪!?
「なんだ、朱里か」
『蛍くん、びっくりしたぁ…』
どうやら妖怪ではなかったらしい。