第12章 夏休み合宿~三日目~。
そして日が暮れて夕方。
いつものように翔ちゃんと飛雄くんと新速攻の練習をしようと準備をする。ボールを出そうとする私を、飛雄くんが止めた。
「今日の夜から俺はお前と練習しない。俺がトス、ミスってるうちはお前の練習になんねえだろ」
翔ちゃんを気遣うような飛雄くんに、翔ちゃんが大袈裟に驚く。
「影山が気ィつかうなんてコエェ~!それよりも早く落ちるトス、くれよな!」
うるせー!と翔ちゃんを飛雄くんは投げ飛ばした。ギャースカ騒ぐのは、相変わらず。
『新しい速攻、楽しみだなぁ…』
「当たり前だ」
「やってやる」
私がぽつりと言うと、飛雄くんも翔ちゃんもにっと笑って応えてくれた。
三週間振り、変人コンビ再起動だね!
クロに呼ばれていたので、第三体育館に行くと、梟谷からは木兎さんと京治さん、クロと蛍くんがいた。
『ごめんごめん、遅れちゃったね』
「ヘイヘイヘーイ!待ってたぜ!」
「木兎さん、朱里さんが困ってます」
木兎さんに呆れる京治さん。バチっと目が合って、目を逸らしてしまった。さっきのことを思い出して、顔が赤くなるのが分かる。
「おや、おやおや、おやおやおや?」
ニヤニヤしながら私の顔を覗き込んできたのは、クロ。いっちいち目敏い。
『何よ、クロ』
「べっつにー。あかーしクンとアカリチャンの雰囲気がヘンだなーとか思ってないですけどー?」
こいつ、分かってて言ってるな!
「え、なんかあったの!?」
『何もない!木兎さんは首突っ込むな!』
木兎さんまで言ってきた。もぉっ!と憤慨していると、京治さんが言った。
「ああ、俺、さっき朱里さんにキスしたんですよ。それでじゃないでスか?」
「「「ああ、それで…え!?」」」
『何でえぇぇぇえ!!!』
クロと木兎さんと蛍くんが綺麗にハモった。ってそんなことはどうでもいい!
『何で言っちゃうのおぉぉぉお!!!』
私の絶叫が、夜の第三体育館に響いた。