第12章 夏休み合宿~三日目~。
びしょ濡れになった私は、赤葦さんに付き添われて着替えに行った。
『付き合わせちゃってスイマセン…』
色気の無い下着までお見せして…
何やってんだろ、私。
「いえ、元はあの二人ですから。俺は気にしません」
『じゃっ、じゃあ、見たもの全て忘れてくれませんか!?』
私がそう言うと、赤葦さんはニヤリと笑って言った。
「それはできませんね。俺だって男です」
えぇぇぇ…とがっくり項垂れた私。赤葦さんは冗談ですよ、と言うけど、全然冗談に聞こえてこない。
それから主に木兎さんの話をしながら、部屋までの道のりを歩いた。赤葦さんは木兎さんを"手のかかる子供のようだ"と言っていた。
マネージャーが借りている部屋で、手早く着替える。赤葦さんに借りたジャージは、濡れたTシャツの上から着ていたので、湿ってしまっている。
よし、洗って返そう。
まだ日は高いし、今からなら夕方にはからっからに乾くだろう。さすが夏。
『お待たせしました…』
ガラッとドアを開けると、壁にもたれ掛かった赤葦さんが待っていてくれた。
『あの、ジャージ洗って返しますね』
「別にそのままでも…」
『いえっ、私が気になります!』
「分かりました。明日までに返してもらえればいいですよ」
はいと返事をすれば、赤葦さんは私の頭を撫でた。最近、いろいろな人によく撫でられるのは、気のせいなのか…?
体育館まで、二人で歩く。ふと、赤葦さんが訊いてきた。
「そういえば、朱里さんは黒尾さんや孤爪と仲良いんですね」
『高校までは東京に住んでたんです。クロや研磨は近所だったんで、よくバレーをしていました。あと、赤葦さん、敬語じゃなくていいです、私年下なんで』
「…京治」
『へ?』
ぽつりと赤葦さんが言った。
「赤葦さん、じゃなくて、京治」
『え、でも…』
「名前で呼ぶなら、敬語やめますよ?」
『…京治、さん…っ///』
俯きながら言うと、赤葦さ…京治さんがクスリと笑うのが聞こえた。
「はい、よくできました」
そう言うと、京治さんは私をぐっと胸元に引き寄せた。私は抗う間もなく、京治さんの腕の中にいた。