第12章 夏休み合宿~三日目~。
「大丈夫ですか、朱里さん!?」
俺は肩にかけてあったタオルを渡した。
『大丈夫…じゃないですね』
着替えなきゃと言いながら、朱里さんはえへへと笑った。ごしごしと顔を拭き、俺にタオルを返してきた。
『タオル、ありがとうございます』
「いえ、別に…っ///」
体の前からタオルを退かした朱里さんを見て、俺は顔が熱くなるのを感じた。
運の悪いことに、朱里さんのTシャツは薄い水色。濡れたことによって、下着が透けて見えるようになってしまったのだ。
『赤葦さん、あの…?』
「すいません、あの、服が…///」
『服?どうし…』
自分の胸元を見て、朱里さんは目を見開いた。ぱくぱくと口を金魚のようにさせる。異変に気付いたのか、日向や灰羽も振り向く。
「あれ、アカリブラジャー見えてるぞ?」
空気を読めない灰羽がずばりと言った。
『きっきっ…きゃあぁぁぁあ!!!』
次の瞬間、朱里さんは叫び、がばりと自分の体を抱くようにして、座り込んだ。その顔は、可哀想に羞恥心からか、赤くなっている。おまけに、涙目だ。
これは、理性がヤバイな…
俺は自分の着ていたジャージを、そっと朱里さんにかけた。
『赤葦さん…見ました、よね?』
「あ、まぁ…」
嘘でしょお、と泣きそうな声がくぐもって聞こえた。そんな朱里さんを慰めようと、灰羽が口を開いた。
「大丈夫、俺はピンクのカワイイと思うぞ!」
『リエーフのばかぁっ!』
「アホかお前っ!」
朱里さんが叫び、小鹿野さんがスパァンと頭を叩いたのは、言うまでもない。