第11章 夏休み合宿~二日目~。
スイカとお昼ご飯でしっかりエネルギーをチャージしたところで、お昼休みが終わり、午後の試合がスタート。
試合はどんどん進み、温度もどんどん上昇。気になって仕方がないので、体育館の壁に設置された温度計に目を遣る。
『うげっ、30.8℃って…』
道理で暑いわけだ。宮城でも30℃を超えることが増えてきたが、東京だと、同じ30℃でも余計に暑く感じる。それは、むしむしとした空気のせいだろう。
『ドリンク多めに作っておかなきゃかな…』
水分に飢えたみんなに囲まれるところを想像して、思わず身震いした。
『血、吸われる…!』
それから慌ててドリンクの補充に向かった。
結局、あの後用意した分は粗方リエーフが飲み尽くした。勿論、みんなもちゃんと水分補給はしてもらったけど。
全ての練習を終え、片付けを済ませ、体育館を後にしようとすると、木兎さんが蛍くんに声をかけるのが見えた。ぺこりと一礼するだけでその場を去った蛍くん。
やっぱり、 引け目があるのかな…
蛍くんは胸に何かを押し込めているみたいな、そんな感じ。
ボカロでもそんな歌があったっけ、と思い、タオルの入ったカゴを持ちながら、私は歌を口ずさんだ。
"パッパラ働く休むことなく
ロ ド ロ ド ランランラ
繰り返しの毎日 気が付けば迷子の猫の様
どっかで誰かが入れ替わろうと
マ ノ マ ノ ランランラ
誰も気付かない ひたすらに数字を追っかけた"
翔ちゃんたちがひたすらに追いかけているのは、春高への夢と、ボール。
蛍くんもそんな風に、なるのかな?
そう思いながら歌を続けた。