第11章 夏休み合宿~二日目~。
暑いからか、体育館のドアは全開。
『みなさーん、森然高校の父兄の方からスイカの差し入れですよー!』
うおぉっ!と雄叫びを上げるみんな。それから外に出て、スイカを食べて休憩することになった。ちなみに午前中の試合は全て終わっている。勿論、梟谷は全勝、烏野は全敗。
うだるような暑さからか、みんなカブトムシもびっくりな勢いでスイカをがっつく。
「アカリ!もう一個!」
『リエーフ、何個目!?』
「ひゃんほへ!」
『食べてると分かんないから!』
両手にスイカを持ち、リエーフがさらにスイカのおかわりを催促してきた。明らかに二つは食べてるよね、この感じ。
それに比べて、研磨や蛍くんのまあ食べないこと食べないこと。一切れでごちそうさま、なんて。
『二人とも、早くしないと全部翔ちゃんとかリエーフのお腹に消えるけど…』
「俺はいいや…」
「僕もいらない」
素っ気なく返した二人、本当に少食だなぁ。
大皿にスイカを載せて、人の間をうろうろと歩いた。どうせなら余すよりも食べきって欲しいもんね。
『あ、木兎さんどうですか?赤葦さんも』
「お、気が利くな!」
「俺は大丈夫っス」
木兎さんはヒョイッと手を伸ばし、お皿の上のスイカを二つ取った。あかーしも食えよ!と木兎さんは赤葦さんを肘でどつく。
「俺の腹は誰かと違ってブラックホールじゃないんで、結構です」
ブラックホールって誰だよ!?とキョロキョロと辺りを見回す木兎さん。
「ほんと、スイマセン…」
『いえいえ!元気なのはいいことですから』
苦笑いで言うと、赤葦さんは少しだけ笑った。あ、笑ったところ初めてかも。笑うと印象が変わって、ドキリと心臓が跳ねた。