第1章 プロローグ。
私の名前は日向朱里。
今いるのは東京…じゃなくって宮城県。
4月最後の週という微妙なこのタイミングでいとこの翔ちゃんも通ってる烏野高校に編入することになりました。
…で、急遽朝のホームルームの時間を借りて挨拶をすることになったんだけど…
『…みなさん初めまして。東京から来ました日向朱里です。よろしくお願いし…』
「何でアカリっ!?!?」
挨拶をしていたら一年生の男の子が急に大声を出した。オレンジ色の髪に小さな身長のその子は近くにいた先生に頭を叩かれて口をすぼめてモゴモゴと謝った。
一瞬、その声に聞き覚えがあったように感じたけど、特に気に留めず型通りの挨拶文を読み上げた。
一礼してステージから降りるとき、ちらりと横目で生徒の方を見るとあのオレンジ頭の男の子はキラキラした目でこちらを見ていた。
もしかしたら翔ちゃんかな?…と思った私は男の子の並ぶ列が1年1組だということを確認して、体育館の横にあるパイプ椅子に座った。
この特別ホームルームが終わったら普通の授業が始まる。きっと忙しくなるだろうからお昼休みにでも1組を覗いてみようかなと、少しワクワクした。