第10章 夏休み合宿~一日目~。
第三体育館に向かうと、既に準備か終わったところだった。
『クロごめーん、遅くなっちゃった』
「いーって。サンキューな」
サポーターを渡すと、頭をぽんっと撫でられた。よしよしと撫でる手が気持ちよくて、そのままでいると、クロの手がすぅーっと頬に移動してきた。
『クロ、何してるのかな?』
にっこり笑うと、にっこり笑って返された。
「いや?このままキスでもしようかなーと思ってなんかないからね」
『…絶対しようとしてたでしょ』
さっと素早く距離を置くと、クロはけらけらと笑い出した。
「お前、その動き、小動物かよ!」
『え、うそ』
「リスみてー」
次第にお腹を抱えて笑い出すクロ。ゲラゲラ笑いながら、腹いてー!とか言うからちょっとムッとした。
「ヘイヘイヘーイ、朱里久し振りだな」
『あ、木兎さん、赤葦さん!』
元気な挨拶をしてきたのは梟谷主将の木兎さん。隣には副主将の赤葦さんも一緒だった。
「日中は話す機会がありませんでしたね」
『そうですねぇ。にしても、やっぱり梟谷は強いですね。全く歯が立たなかったです…』
烏野との試合の後も梟谷は勝ち続け、今日はたしか全勝だった。
そんな世間話をしていると、クロがトントンと肩を叩いてきた。
「そろそろ練習、付き合ってくんね?」
『ああ、ごめんごめん、話し込んじゃった』
えへへと笑い、体育館の中央に集まる。今ここにいるのは、音駒のクロとリエーフ。梟谷の木兎さんと赤葦さんだ。
『う~ん…対人でもやる?』
「せっかくの合宿なんで、もっと面白いことしたいっす!」
リエーフ、ご最もです。
「あ、じゃあ俺のスパイクひたすら取れ!」
「…それ、やってて楽しいの木兎さんだけっスよね?」
赤葦さん、ご最もです。
「アカリ、そろそろ俺と付き合うか!」
『うん、そうだね…って、おいコラ!!!』
クロ、全っ然違うから!
何気に混ぜてるけど、一個だけ明らかに種類が違うわ!
私の放った蹴りは、クロの鳩尾に見事命中。
てれれてってて~ん♪
▽黒尾は絶命した!
▽朱里はレベルが上がった!
▽朱里はスキル"鳩尾蹴り"を覚えた!
「何RPGしてんだよ!?」
はーい、クロすいませーん。