第10章 夏休み合宿~一日目~。
ここで梟谷のスタメンを紹介。
・ S 赤葦
・MB 鷲尾,尾長
・WS 木兎,木葉,猿杙
・ Li 小見
ばりばりのアタッカー木兎さんに、頭脳派セッターの赤葦さん。他のみんなも実力者揃いで、かなり手強い。
烏野はこんな相手をどう戦うのかな。
試合早々速攻のチャンス。翔ちゃんが跳び、飛雄くんが"置いてくる"トスをする。
「「『あ』」」
クロと研磨と見事にハモった。それもそのはず。綺麗に決まると思った速攻、ボールは翔ちゃんに届かず、手前でてんっと跳ねた。
「…み、短すぎた」
ぽつりと呟く飛雄くんにドンマイとメンバーが声を掛ける。
そして二度目の速攻チャンス。今度はボールが伸びすぎる。それを翔ちゃんが咄嗟に左手で押した。なんとか梟谷のコートに落とす。
『おっとと、危なーい』
「烏野よ、なんか見てておもしれーな」
クロが囃し立てるけど、それも分かる。
新しい攻撃を模索中の烏野は、辿々しいというか、よたよたしてるというか、不思議なことになっている。
「それでいいぞ!ガンガン行け!」
旭さんがジャンプサーブでミスったり、速攻が決まらなくても、烏養コーチは気にしない
むしろ、突っ込んでどんどん攻撃することを求めている。
そんな試合を見て、猫又監督が呟いた。
「う~ん…小気味良い程に噛み合ってない」
『アハハ…』
私はひきつった笑みを浮かべた。本当、噛み合ってないや。
シンクロ攻撃をしようとして、ズレたり。西谷先輩がジャンプトスをしようとして跳びすぎちゃったり。やってる本人たちは大真面目でも、周りから見たら笑いのタネ。
結局、梟谷25-烏野12でボロ負け。こっちの試合が終わっても、隣のコートでは森然と生川の試合が続いていた。
「朱里ちゃん、さすがだね」
『猫又監督?何がですか?』
「烏だけあって雑食性だね。恐らくだが、あれは驚くべきスピードで進化している途中なんだろう」
『そう、ですね』
猫又監督の観察眼、恐るべし。