第10章 夏休み合宿~一日目~。
やって来ました、埼玉県森然高校!
昨日の夜遅く、日付の変わる頃に出発し、バスに揺られて6時間。今回はバスの運転を滝ノ上さんが引き受けて下さった。
『う~ん、体がかったい!』
バスから下りた私は、座りっぱなしですっかり固くなった体を解していた。軽く屈伸したり、伸びをするだけでも楽になった。
ちなみに、作ってきたおにぎりは朝ご飯としてみんなが全て食べ尽くした。男子高校生の食欲、恐るべし。
「うぉーい、来たかー」
『クロ!出迎えありがとー!』
ひらひらと手を振りながら現れたのは、音駒のみんなだった。
『あれっ、リエーフまた伸びた?』
「3㎜伸びてた!」
『わ、成長期!』
すごい、まだ伸びるんだね、ソレ。
どこまで伸びるのやら。そんなリエーフの成長速度に若干びっくりしつつ、今回の会場である森然高校へと歩き出した。
後ろでは、翔ちゃんと飛雄くんがここは東京か!?スカイツリーどこだ!?とか言ってる。デジャヴュかよ、と笑うクロに、私も苦笑いした。
『二人とも、ここ埼玉だから』
「マジかよ!?」
『マジです』
大袈裟な反応の翔ちゃん。スカイツリーなくってショックだったらしいね。そして森然高校に到着。Sinzen High Schoolって看板があって、新しい感じの校舎。
5校のバレー部が使うのは、第一体育館。合宿の内容は7月の週末合宿とほぼ同じ。二面を使い同時に二試合をする。その間、残ったチームは主審や副審、得点係などのサポートを担当することになる。
烏野は到着早々に試合、相手は梟谷。全国を相手に戦う高校と、初戦から。
私は今回も音駒側に付くみたいだけど、一試合目は音駒がサポートだったので、烏野と梟谷の試合を見学することに。
ストレッチや軽いウォーミングアップを挟んだ後、試合が始まった。