第7章 トーキョー遠征。
びくりと肩を震わせると、唇を離した蛍くんがくっくっと喉の奥で笑った。
「驚きすぎデショ」
『だって、もうワケわかんないよ…』
クロには告白されるし、リエーフはド直球だし、影山くんはしょっちゅう赤くなるし、蛍くんだって。
こつん、と頭を前の座席にもたれかけた私を、蛍くんがよしよしと撫でた。
「急に言って困らせたならゴメン。でも僕の気持ちは本当だから」
それだけは忘れないで、と蛍くんは言った。目線を動かすと、蛍くんが優しく微笑んでいて、思わず見入った。
だって、あの蛍くんだよ!?
意地悪そうな笑みしか、ほとんど見たことないんだよ!?
なんか、調子狂うわ…
上体を起こして後ろの座席を見ると、みんな合宿の疲れからか、寝入っていた。ちなみに、なんで私が蛍くんの隣なのかというと、バスに乗った瞬間蛍くんに腕を掴まれたから。
夕暮れの東北自動車道を、宮城県に向かってバスは北上を続ける。到着には、もうしばらくかかりそうだ。
人一倍動き回った今日は、とっても疲れた。それに、朝からクロたちと練習してたし…
『ふわぁ、ねむ…』
「寝たら?体持たないヨ」
『うん…私ね、寝起き悪いらしいから、気を付けてね…』
「…わかった」
蛍くんがそう言ったのを最後に、私はとうとう意識を手放した。