第7章 トーキョー遠征。
お昼ご飯は、マネさんたちと一緒に作った。たくさん作るのは大変だったけど、みんなで楽しく話しながらだったから、あっという間に感じた。
どこで食べようかキョロキョロしていると、クロが手招きしたので、隣に座った。
『ねえ、音駒はインハイどうだったの?』
「あー、ベスト8だったよ。運が悪かったのか、去年の優勝校に当たってなー」
『そっか~』
「残念だったなー黒尾!春高は俺たちがいただきだぜ!」
ニヤリと笑うのは、木兎さん。隣ではやっぱり赤葦さんが、残念そうにため息を吐いた。
「ほんと、毎回スンマセン…」
『木兎さんって、とっても強いですよね?』
「おう!五本の指に入るんだぜ!」
『五本、すごい片手だ…』
感嘆のため息をもらすと、もっしゃもっしゃとサラダを頬張りながら、向かいに座るリエーフが身を乗り出して訊いてきた。
「そっちには強い人いないのか?」
『いるいる。しかも全国三大エースが』
三大エース、という言葉に、おおっとどよめきが上がった。
「たしかウシワカだっけ?」
『そうそう』
「三大エースっていったら、東北のウシワカ、関東のサクサ、それと九州のキリュウか」
クロの言葉にうんうんと頷いた。そして、プフッとクロが鼻で笑った。
「木兎負けてんじゃねーかよ」
「なっ、うるせー!これから勝つんだよ」
ゲラゲラと笑うクロに、木兎さんが負けじと言い返す。あー、小学生の喧嘩みたい←
傍観体勢に入った私は、赤葦さんと雑談。
『赤葦さんはすごいですねぇ…』
「何がです?」
『いや、私が言うのもなんですけど、木兎さんって上げ下げが激しいじゃないですか』
「…否定できませんね」
『そんな木兎さんを使いこなせるって、すごいなぁっと。木兎さんが五本の指に入るのは、きっと赤葦さんがいるからですね!』
にっと私が笑うと、赤葦さんは照れたように頬を掻いた。
「そんなんじゃありません。あの人が強いだけです。俺はそんな木兎さんを支えたいと思ったんです」
言い争いを続けるクロと木兎さんを、赤葦さんは尊敬と敬愛の眼差しで見つめていた。
それを見て、私もこんな風に尊敬される人ってやっぱりすごいなぁと改めて思った。