第1章 プロローグ。
西谷先輩と田中先輩は突如謎の雄叫びをあげだした。訳の分からない私はただただ呆けた顔をするだけである。
「先輩って…呼ばれたあぁぁぁあ!!」
「やったなノヤ!」
「おう!龍!!」
ガシッと抱き合う二人…わぉ。
『この二人ってずっとこんなテンション?』
子声で翔ちゃんに訊くと、がっつり縦に頷かれた。そこはそんなに頷かなくても良いのよ、翔ちゃん。
騒ぎに気付いた影山くんたちも練習を中断してこっちに駆け寄ってきた。
「朱里、何の騒ぎ?」
『月島くん…そんな顔しないで、本気で嫌そうなんだけど…』
眉間にシワを寄せて明らかに嫌そうな月島くんと影山くん。二人はあんまり仲が言い訳じゃなさそうだったけど、この辺の息はぴったり。意外と良いコンビになるかも?
そんな1年生ズを他所に、先輩二人に翔ちゃんはワイワイ騒いでいる。
これ、いつまで続くの~…
そう思うと、またドアの方で声が聞こえた。
「ほらほら、静かにしろ」
「その辺ーうっさいぞー」
短髪黒髪の人と灰色の髪の好青年がにこやかに騒ぐ彼らを注意していた。その後ろには背が高く髪を後ろで結んだ人がいる。
「あーっ、スガさん!大地さん!旭さん!」
翔ちゃんの反応からするに、この3人も先輩のようだ。
…私、あと何回挨拶するんだろ。