第7章 トーキョー遠征。
トンデモな翔ちゃんの発言に、影山くんがすごい剣幕で睨んだ。負けじと翔ちゃんが言い返す。
「今のままじゃだめだ。おれが打たせてもらう速攻じゃだめだ」
その言葉に、ピリッとした緊張感が烏野コートに漂った。影山くんにも思うところがあるのか、あまりいい顔はしていない。
でも、翔ちゃんの顔は、もっと強くなりたいと切実に訴えるものだった。
音駒の試合のその後、武田先生がこんなことを言っていた。
烏野はこの中で一番弱いと。
戦う相手を敵と見るか、
それとも技を教わる師と見るのか、
それは君たち次第だと。
下手くそなのは、
伸びしろがたくさんあることだと。
本当にその通りだと思った。下手なのは悪いことじゃない。むしろ、これからの可能性が無限に広がっている、素晴らしいことなんだよね。
武田先生の一言一言を、私は噛み締めるように聞いていた。おまけに言うと、大事そうだったから、ノートにメモった。
武田先生の時々ポエミーになるところ、実は意外と好きだったりする私です。