第7章 トーキョー遠征。
体育館は熱気がこもっていて、ドアを開けるともわっとした空気が肌を掠めた。
「黒尾ナイッサー!」
「研磨、後頭部気を付けろよー」
「今言ったの誰だッ!?」
「木兎ナイスキー!」
「ヘイヘイヘーイ、俺最強!」
「木兎さん次サーブです」
これだけ高校が集まると、人もたくさんいるわけで。十人十色すぎてびっくり。
音駒もだいぶ個性豊かだけど、他も負けてない。例えば、四番の人、最強って自分で言ってる。それから、頭がブロッコリーみたいな人とか本当にいろいろ。
「あっちのコートがウチと森然。んで、こっちのコートが音駒と生川かな~」
『雪絵さん、ありがとうございます!』
「いいよ~。じゃあ後でね~」
梟谷の方へ向かった雪絵さんとかおりさんにお辞儀をして、潔子さんに話しかけた。
『とりあえず、烏野のところに行きますか』
「うん。みんなは…あっちだね」
『はいっ』
体育館のちょうど反対側にみんなが集まっていたので、そこに合流することにした。
「来たか。よし、じゃあ日向と影山がいない分お前らしっかりやれよ!」
「「「「「ハイッ!!!」」」」」
「今の試合は各自見ておけ。それと、朱里…」
『は、い?』
烏養コーチに手招きされて、イヤな予感がした。また変なお願いとかされるんじゃ…そう思った矢先、烏養コーチはがばりと頭を下げた。
「スマンッ!今回も音駒を頼むッ!」
『またですかぁ…』
そんなよかんはしてたんだよね、うん。だってバス下りてからチラチラこっち見てくるし、音駒の人もなんかそわそわしてるし。
『分かりました。なんかもう転校した方がよくないですか?』
「その手があったか!」
『納得しないでくださいっ!』
ポンッと手を叩く烏養コーチに脱力。潔子さんにお願いしますと告げて、私は音駒のコートに向かった。