第6章 恐怖の期末テスト。
「朱里ちゃんってば、白昼堂々告白!?」
あーくそ先にコクるんだったー!とスガさんが頭を抱えて嘆いている。
って、告白?
『スガさん、告白って誰が誰にですか!?』
「いやいや、朱里ちゃんが月島に今言ったじゃん、好きだよって」
『え、そんなこと言いましたっけ?』
「「「「「言ってただろッ!」」」」」
首をかしげると、全員に突っ込まれた。
言ったっけ、蛍くんが好きなんて。違うよね、私が好きなのは、"蛍"って名前だもの。
『あのぅ、みなさん誤解してるようですけど全然違います。私が好きって言ったのは、月島く…蛍くんの名前のことです』
キョトン…とするみんな。あ、翔ちゃんが石化してる。何やら変な誤解をされてる気がする…私は慌てて弁解した。
『え、だってかわいくないですか?"蛍"って名前。なんか蛍くんにぴったりな感じがするし、それにっむぐ!?』
「ちょっと、ベラベラ喋らないでヨ///」
急に口を塞がれたと思ったら、蛍くんが後ろに立っていた。コレ、蛍くんの手だったんだ。
『ふぁにひゅるろ、ひらひ~!』
「なんで君は余計なことを言うの…」
蛍くんにほっぺたをぎゅいぎゅい引っ張られるから、喋りにくい。ちなみに、何するの痛い~!って言いたかったんだけどね。
「おれ、アカリが月島のこと好きなのかと思った!」
『翔ちゃん何言ってるの、そんなわけないでしょ。それに、私が好きなのはバレー部のみんなだよ?頑張ってる人って、カッコいいよね!』
その言葉にみんながボンッと、音をたてて真っ赤になった。そして、大地さんがおもむろにこう呟いた。
「お前ら…今日から練習三倍だッ!!」
「「「「「アスッ!!!」」」」」
うおぉぉぉ!と叫びながら、西谷先輩と田中先輩はドタドタと部室を出ていった。翔ちゃんと影山くんも競い合うように出ていく。そして、私と蛍くんだけが残った。
何はともあれ一件落着、かな?
「ねぇ、朱里」
『何?』
「これ、三つ目ね。僕がいいって言うまで目瞑ってて。開けたらお仕置きね」
『うっ…ハイ』
蛍くんに言われた通り、両目を瞑った。蛍くんが私の前に立つ気配がする。
そして
顎をクイッと持ち上げられたかと思うと、
あたたかいものが
ちゅ………と
私の唇に
触れた。