第6章 恐怖の期末テスト。
そして翌日。
今日は目覚まし鳴らなかったなー、もしかして早起きしたとか?
淡い期待を持って目覚まし時計を見た私は文字通り絶句した。
『八時かぁ…ん?八時っ!?』
ヤバい、ヤバいよ、ヤバすぎる!
三段活用とかしてる場合じゃないって。
遅刻する!
『きゃー、ちこくチコク遅刻ぅ!』
「おー、アカリ起きたかー」
『馬鹿、なんで起こしてくんなかったの!』
「いやぁ気持ちよさそうに寝てるんだもん」
なにが"だもん"だよ。
とりあえず、朝ご飯は抜き。急いで髪をとかして顔を洗う。なんでこういう日に限って寝癖が酷い、髪が四方八方に跳ねてる。
『いってきまあぁぁぁす!』
「ドップラー効果…」
エレベーターを待っているのすらもどかしいので、階段を一段飛ばしで駆け下りる。自転車に股がり、全力でペダルを漕ぐ。
腕時計は既に8時15分を指している。急がなきゃ、急がなきゃっ!
駐輪場に派手な音をたてて自転車を止めた。階段をやっぱり一段抜かしで駆け登り、教室に滑り込む。席に座ると、ちょうどチャイムが鳴った。
『つ、疲れたぁ…』
「なに、寝坊でもしたの?」
『はぁ、図星過ぎて…はぁ、はぁ、なにも言い返せません…』
荒い息をしながら、月島くんの指摘に返答。蔑むような言い方だったけど、事実なだけあってなにも言えない…
担任が教室に入ってきて、テストを返却すると告げた。
「おーし、じゃあ返すぞーって、ありゃ?」
先生はしばらくがさごそとなにかを探していたが、諦めたように言った。
「悪い、職員室に置いてきちまった」
帰りのホームルームで返すからなーと言い残し、反論する間もないまま、先生は去っていった。
先生、何しに来たのよ…
「あ~あ、朱里の赦しを乞う顔早く見たかったのに…」
『縁起でもないこと言わないで』
とりあえず、月島くんとの勝負は延期になったっぽい。といっても、帰りには分かることなんだけどね。