第6章 恐怖の期末テスト。
ここはどこ…?
晴れ渡り、どこまでも続く草原を二人の少年が、ボールを抱えて走っている。黒髪の癖っ毛の子と茶色いストレートの小柄な子。
"おーい早く来いよー!"
黒髪の少年が言った。そうか、あれはクロだ。とすると、隣の子は研磨かな。小さなクロは両手をぶんぶん振って、私を呼ぶ。
それに応えたくて口を開いた。あれ、声が出ないや。それに動きたくても足が地面にくっついたみたいに動かない。
どうして、お願い、動いてよ…
そうしているうちに、二人はどんどん遠ざかっていく。
いやだ、置いていかないで…
晴れていた空はいつの間にかどんよりとした雲におおわれていた。足元に目を遣ると、膝まであった草はなくなり、代わりに黒く濁った沼になっていた。
いやだ、こわい、こわいよ…
クロ、研磨、助けて…
二人の姿は霧のように霞み、そして見えなくなった。ずぶずぶと泥に体が飲み込まれていく。腰までとっぷり浸かったとき、泥がなくなり、穴が開いた。
底無しのように真っ暗な穴に、あれよあれよと吸い込まれていく。と、動かなかった口がようやく言葉を発した。
"きゃあぁぁぁあっ!!!"
ごつんっ
『いづっ…』
鈍い音と痛みで目が覚めた。どうやら夢だったようだ。自分の置かれた状況からすると、頭から床に真っ逆さま。我ながらひどい寝相だ。そこは見慣れた自分の部屋だった。
覚醒しきってない頭をめいっぱい回し、どうにか体に命令する。廊下に出るとなにやら賑やかな声が聞こえてきた。リビングから聞こえるようで、勉強の続きもしたかったしとりあえず向かうことにした。