第6章 恐怖の期末テスト。
【影山side】
「おかえりー、おれ次いい?」
『ほーい。お湯一応ためてあるよ?』
「んじゃいきまーす!」
おっふろ、おっふろと訳のわからない歌を口ずさみながら、日向が風呂に向かった。ちょうど問題を解き終わったので、俺は朱里がいる方を向いた。
「おかえ…っ///」
『影山くん、どした?』
俺は絶句した。下は膝上のジャージに上はTシャツ。乾かしていないのか、ダークブラウンの髪はしっとりと濡れている。それがまたなんとも言えず、普段と違う姿に思わず目を逸らした。
「な、なんでもねー!」
『そっか。喉渇いた~スポドリスポドリ…』
がちゃりと冷蔵庫を開ける音が聞こえた。俺にも飲むか訊いてきたので、いると答えた。
『どーぞ』
「サンキュ」
ふー気持ちよかった~、と息を吐きながら、朱里はソファーに座った。次いでテレビつけるね、と言ってリモコンのボタンを押した。
問題と格闘している風を装いながら、俺は横目で朱里を窺った。スラリと伸びた手足は日に当たらないからか白く、黒いジャージに映えていた。
ヤバいヤバい、何考えてるんだよ俺!
雑念を追い払うように俺は出されたスポドリをぐびっと一気に飲み干した。
テレビから賑やかな音声が聞こえる。いつもと変わらないそれが、やけにうるさく聞こえた。