第6章 恐怖の期末テスト。
「お、おれ食い過ぎでトイレ…」
「学校にペンケース置いてきて…」
『翔ちゃん胃薬あるら。影山くん筆記用具ならいくらでも貸すから』
「諦めろ、少年よ…」
言い訳して逃れようとする二人からいとも容易く退路をなくした。ていうか、兄さんが二人の肩に手をのせて菩薩顔してるんだけど。
『はいはい、とりあえず教科書開こうね』
ぶーぶー文句を言う二人の首根っこを引っ張りテーブルに座らせた。数学の教科書を置き、基礎問題をノートに書き写す。
『翔ちゃん、このページから解いてみて』
「うげ…」
『五問だけだから10分ね』
「じゅっ…」
『10分ね?』
「…ハイ」
問答無用、10分で解いてくださいね。
『影山くんはこっち』
「…ウス」
二人がシャープペンを手に問題を解き始めるのを認めて、私は英語の文法からおさらいをすることにした。一応、一週間前から復習はしているけど、化学と歴史ばかりで英語にほとんど手をつけてなかった。
「…朱里、これってどうやるんだ?」
『これは公式使って、こっちに代入して』
「解けた、サンキュ」
「アカリーこれは!?」
『こっちは…』
二人に教えながら、かれこれ一時間が経った。う~んと伸びをして時計を見ると、既に9時を過ぎていた。
『じゃあちょっと休憩しよっか!』
「うぇーい!」
「ほい、三人ともおつかれさん!」
「「アザッス!」」
『ありがとう』
兄さんが差し入れにハミマのチキンを買ってきてくれた。それを食べて一休みすることにした。