第6章 恐怖の期末テスト。
『ただいま~』
「青司にいおじゃましまーす!」
靴を脱ぎ捨てて部屋に入る翔ちゃん。引っ越してから何度か夏ちゃんと遊びに来ているので勝手知ったる我が家のようなものなのだろう。それとは対称的に、影山くんはキョロキョロしている。
「いらっしゃい…とと、君は…?」
「か、影山飛雄です、朱里とは同級生でマネージャーで…お、おじゃまします!」
挨拶をした影山くんに、兄さんはああ、と納得したように呟いた。
「君が影山くんか!アカリがよく話してるんだよ。すごいセッターがいるって」
『余計なこと言うなっ』
家に帰って早々余計なことを言う兄さん。イラッときたので、ゴスッと脛に一発お見舞いしておく。
『実はカクカクシカジカありまして…』
二人を家に招くことになったことの次第を話すと、兄さんは快く承諾してくれた。それどころか、一晩くらい泊まっていけなんて言い出した。 それは困るだろ…
「ともかく、腹減ったろ?カレー作ってあるから食え食え!」
「「アス!」」
今日の晩ご飯はカレー。ダイニングのテーブルを拭いて、準備をする。男子三人にうち一人が成人、うち二人は運動部かつ成長期とくれば、炊飯器の中のご飯が空になるだろう。
そういえば影山くんは温玉のせのカレーが好きなんだっけ。思い出したついでに、鍋に湯を沸かして四個卵を入れた。
『はい、カレーどうぞ。好みで卵とおかわりは自由、セルフでお願い』
「「「いただきまーす!」」」
三人が食べるのを確認して私も食べ始めた。ものすごい勢いでお皿のカレーは減っていく。私がようやく半分食べる頃には、翔ちゃんと影山くんのお皿は空になっていた。そしてあっという間にお鍋も炊飯器も空っぽになった。
「ぐるじー…もう食えない」
「お前は食い過ぎだボゲェ!」
『兄さんも手伝ってね?』
「何を?」
何かを予感した翔ちゃんと影山くんは顔を見合わせた。私はにっこり笑って言った。
『じゃ、勉強しようか』