第6章 恐怖の期末テスト。
あの後、1年生四人が最後まで残っていた。2年生二人は縁下先輩にどうにか頼み込んで勉強を教えてもらうようだ。部室に鍵をかけながらふと、名案を思いついた。
『月島くんにもお願いしてみたら?』
たしか月島くんは頭がよかったハズ。この前の小テストで満点をとってたし、いい先生になってくれそう。
「「絶っっっ対ヤダ!」」
「そんなに否定しなくてもいいデショ。まあ僕も君たちには教えたくないけど」
『ストップ!また喧嘩になるから…』
月島くんも一言多いんだよなぁ。
「アカリ、絶対月島に負けるなよ!」
『それはどうだろう…』
「ああ、負けるのが怖いんだ」
『月島くん、それ、どういう意味?』
「そのまんまだけど」
ムッカー!
なにそれ、なにそれ、なんなのよ!
『月島くんには絶対負けませんからっ!』
私は私で負けすぎらい。売られた喧嘩は勝手あげようじゃないの。
「ふぅん、ずいぶんな自信だね。じゃあ勝負しようよ」
『いいよ。何賭ける?』
「勝った方が負けた方に一つ命令できる」
『わかった。全教科の合計点ね』
「僕はそれでいいけど朱里本当にいいの、負けても知らないよ?」
『まーけーまーせーんー!』
「え、アカリ…?」
「おい、日向止めろよ」
「ムリムリムリムリ!だって目がマジ…」
私と月島くんが勝手に話を進めていると、後ろで翔ちゃんと影山くんがこそこそ話しているのが聞こえた。
『山口くん鍵お願い。二人とも行くよっ!』
おろおろする山口くんに鍵を託し、私は大股で歩き出した。あそこまで大口叩いた以上、月島くんには負けたくないし、自分の勉強に加えて二人のことも教えなくちゃいけない。
今夜は寝てられないね。
煌々と夜空に輝く月を見上げ、私は不敵に笑った。そんな私を見て、後ろからついてくる二人が小さく悲鳴を上げるのに、今夜の予定を考えている私は気づかなかった。